海事ワンポイント ~人の運送をする事業とは?~
- 海事代理士 長沼和敏
- 2017年6月16日
- 読了時間: 3分
大変久しぶりに、ブログを更新致しますm(_ _)m。私事ですが、父の体調不良のバックアップのため、更新頻度が少なくなってしまいました(^^;)。皆様に忘れられないように、最低限度の更新は確保したく思っておりますm(_ _)m。
さて、以前に受講した研修の内容の一部を紹介いたします。
<設問>
(1)ホエール・ウォッチング事業
(2)ダイビング・スポット・ガイド事業
のいずれも人を乗せて船舶を運航する必要がありますが、海上運送法第20条第2項の規定する「人の運送をする不定期航路事業」に該当しますか?
<設問の答え(運輸局の見解)>
(1)→該当(同項の規定に基づく届出が必要)
(2)→該当しない(同項の規定に基づく届出は不要)
※ただし、落とし穴あり!
最初に耳にしたときは「えっ、なんで?」と思うばかりでした(^^;)。とはいえ、届出先の運輸局においてそのように解釈・認定している以上、とりあえず、運輸局の見解が妥当であるとして、その理由を、あらためて私なりに考えてみました。
先ず、(1)の場合、その事業内容は、お客さんを乗せて船舶を運航することに尽きるから、(1)の事業は「人の運送を」し、「航路事業」をするものであると認めるのが素直です。
次に、(2)の場合、「人の運送を」していることは間違いありません。ところで、事業の具体的な内容がバリエーションに富み(内容が複合的)、その事業のメインの内容が仮に「★★」と一般に称されるものであるときは、「★★事業」と称するのが普通です(サブの事業内容が「□□」であるときに、敢えて「□□事業」と称することは、しないでしょう(事業内容について誤認・誤解を招くおそれがある))。(2)の事業のメインは、お客さんを乗せてダイビング・スポットまで船舶を往復運航することではなく、ダイビング・スポットにおけるお客さんのガイドにあるということができますので、その場合には、(2)の事業は、「人の運送をする不定期航路事業」に該当しないということになります。
ここまでお話すると、上記「落とし穴」が一体何なのか、お察しのことと存じます。例えば、(2)の場合であっても、全く別の事業者が「ダイビング・スポットまでの船舶往復運航」のみについてガイド事業者と契約を結んだときは・・・その別の事業者は、海上運送法第20条第2項の規定に基づく届出をしなければなりません。
本日、お客様から問い合わせがありました。問い合わせの内容は、上記とは多少異なるものでしたが、お話の内容からすると、これから行おうとお考えになっている事業が、全体として、メインではなく附随的に行うものであり、そのほかにも実質的な理由が確認されたことから、「(その事業に関する限りでは)届出をする必要はありません」

と判断させていただきました。