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海事ワンポイント ~健康証明書(船員法)~

  • sanwa-office
  • 2016年1月9日
  • 読了時間: 2分

海事ワンポイント ~健康証明書(船員法)~

 昨日、普段はパナマ船籍の大型船に乗り組んでいる日本人の方から、健康証明書の有効期限についてお問い合わせがありました。ILO海外労働条約が日本で効力を生じる(平成26年8月5日)ようになってから、「(いろんな話を聞いて)よくわからなくなってしまった」とのことでした。

 船員法をはじめ海事関係の法規は、一般に技術的であるため、このようなお問い合わせは絶好の勉強の機会となります。昨日中に回答させていただきましたが、私自身の勉強のためにも、あらためて書き留めたく存じます。

 この方が乗り組む当該大型船は、総トン数5トン未満の船舶ではなく(船員法1条2項1号)、日本船舶を所有することができる者が借り入れた船舶ですので(船員則1条2号)、船員法が適用されます。

 「船舶所有者は、国土交通大臣の指定する医師が船内労働に適することを証明した健康証明書を持たない者を船舶に乗り組ませてはならない」と規定する船員法83条は、船舶借入人にも適用されます(船員法5条1項)。つまり、「船舶借入人は、国土交通大臣の指定する医師が船内労働に適することを証明した健康証明書を持たない者を船舶に乗り組ませてはなら」ず、この規定に違反した場合、船舶借入人は30万円以下の罰金に処せられます(船員法5条1項、131条1号)。

 ところで、船員法83条の健康証明書の有効期間は、色覚の検査については六年、その他の検査については一年です(船員法83条2項、船員則56条1項本文)。

 したがって、健康証明書の有効期間を徒過したにもかかわらず、船舶借入人が故意(刑法8条、38条1項)に当該船員を乗り組ませた場合、このことにつき船員労務官により検察官送致をされたときは(船員法108条、刑訴法246条本文)、船舶借入人が罰せられる可能性は高いでしょう。

 
 
 

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