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申請などの不受理について ~私見~

  • sanwa-office
  • 2015年5月23日
  • 読了時間: 3分

契約

 先日、私が諸先輩へ海事代理士業務に係る申請について質問をしたとき、そのやり取りから受理(受理の拒否(不受理))という概念の義・法的性格についてまで議論が発展しました。この議論は、海事代理士が本人を代理して申請等の手続をした後、所管の担当者から受理を拒否する旨を通知等された場合に、当該申請等の手続の帰趨を考える上で、その(論理的)前提を導くためのものということができるように思います。

 私の手元には、塩野博士の「行政法I」(第五版補訂版)がありましたので、早速調べてみました(勉強不足を解消するためです(^^;))。同本第二部第四章「二 申請に対する処分に関する手続」「(2)行政庁の手続上の義務」「③審査応答」では、「わが国の行政運営においては、ときに行政指導に相手が従わない場合に、申請の受理を拒否したり、申請書を返戻したりする等のことが行われ、これによって、申請の審査が遅らされて相手方が損害を被ったり、また、受理の拒否、返戻の法的意味(処分か単なる事実行為か)が裁判上問題となることもある」「審査義務は申請が到達したときに生ずるものであるから、実務上行われてきた受理という行為は手続法上の概念として位置付けられていない」「その意味で、行政行為論上、準法律行為的行政行為の一種としての受理は、少なくとも手続法上は法的意味をもたないことになる。また、手続法のかかる整理は、受理(拒否)、受付(拒否)、返戻といった事実上の行為が行われなくなることを期待しているものであり、また、仮にかかる行為が行われても、申請があった以上、すでに行政庁の審査義務があるので、受理拒否の状態は法律上は審査懈怠を意味することになり、これを前提とした法的評価が必要になると思われる」との記載がありました。私のような勉強不足の者が申し上げるのは誠に恐縮ですが、この塩野博士の見解には「なるほど」と思っております。

 このような立場から、私は、「次のような説明ができるかもしれない」との思いに至りました。

 今後において、受理拒否、受付拒否といった事実上の行為が一切行われないとは限らない。受理という概念も、その拒否が目立つために生じたものと思われる(受理拒否という行為がなければ、受理という概念を考える必要がなかったともいいうる)。  手続法上法的意味を有しないということから、受理を手続法上の概念として位置付けることはできない。ただ、事実上の行為として今後も行われる可能性がある行政庁の受理拒否についてこれを理路整然と批判するため(批判対象の範囲を明確にするため)、受理という概念を(行政庁の立場から)導入する必要があると思料する。そこで、法律学小辞典第4版補訂版を参照してみると、「行政庁が他人の表示(届出・申請等)を有効な行為として受領する行為」との記載があった。

 最後に、私が実際に海事代理士として本人を代理して申請等の手続をした場合を想定してみました。

 確かに、受理拒否を正当化する根拠は、所管において申請等の手続の審査義務が生じている以上、それは、受理拒否を法的効果として明確に定めている個別規定に係る要件事実に求めるべきと解します。

 ただ、その個別規定を含んだ法の全体(の趣旨)に照らし、所管の担当者が何らかの疑義を抱いた場合、これを解消するため、当該担当者が当該申請等手続の代理人と話合い、疎明や補正等の協力を求めることも、行政サービスの迅速化と本人の利益に資する限りにおいて、不当と断ずることは言い難いように思います。

 関東運輸局の担当者の対応で、「根拠に乏しい」「不親切だ」「つっけんどんだ」と感じたことは、今のところありません。「直して(補正をして)済むなら、無駄に時間をとられないから、その方が良い」というお客様もいらっしゃることと存じます。お客様の利益を最優先にしつつ、このようなことにも留意して、代理申請等の手続を滞りなく進めるよう努めてまいります。

 
 
 

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